今回は成形機に関連した設計要件を紹介していきたいと思います。
どの項目も重要なので、金型を製作する上で事前の確認は必須の内容になっています。
金型レイアウトは客先と合意を取っている事
金型の製品レイアウトは、射出成形金型設計において重要な要素です。これは金型内で製品がどのように配置されるかを示すものです。例えば、複数の製品を一度に成形する金型では、同時に製品を成形するために、製品の配置とゲートやランナーの位置を適切に配置する必要があります。金型の製品レイアウトを最適化することで、製品の品質や生産性を向上させることができます。
本設計の前に金型レイアウトを作成し、製品やランナーの配置、自動取り出しや手動取り出しなどで問題がないか客先に確認を行い、金型天地方向を決定することが望ましいです。
適切な金型レイアウトになっていないと、製品やランナーが取り出し時に金型に干渉したり、手動での取り出しが困難になる。
断熱板の使用の有無は客先に確認する事
断熱板は、射出成形金型において熱伝導を制御するために使用される重要な部品です。これは金型内の熱の移動を制限し、製品の品質や寸法安定性を向上させる役割を果たします。断熱板は通常、熱伝導性の低い材料で作られ、金型の温度管理を制御します。これにより、成形品の冷却速度や温度分布を制御します。
使用する成形材料の設定金型温度が高い場合は断熱板を設定する事。
客先の成形機に断熱板が付いている場合もあるので、事前確認は必要になります。
過去にあった事例で、断熱板の付いていない金型で、量産中に金型温度が安定せず品質にバラつきが発生したケースもあります。
エジェクタロッドの径、位置や数が成形機の仕様と一致している事
エジェクタロッドは、射出成形金型において金型内の成形品を押し出したりする際に使用されます。エジェクタロッドは通常、上記画像のような円筒形状の棒状部品であり、金型内に取り付けられたエジェクタープレートと連動して動作します。適切なエジェクタロッドの設計と配置により、製品のスムーズな押し出しを実現し、生産性を向上させることができます。
量産時に使用する成形機の仕様情報を客先から入手し、エジェクタロッドの径や位置を決定します。
成形機の仕様に正しく設計されていないと、エジェクタロッドが金型に干渉し、成形品の取り出しが困難になります。
取り付け板の厚みがクランプ高さの仕様と一致している事
取り付け板は、射出成形金型において金型の主要部品を固定するための重要な要素です。これは金型を成形機に取り付けるための板状の部品でもあり、一般的に金型のベースとなる構成要素です。取り付け板は金型の各部品を正確に位置決めし、固定する役割を果たします。
成形機の種類や客先の仕様によって、金型を取り付けするクランプは様々あります。
取り付け板の仕様が合っている事
前の項目で記述した一般的なクランプ以外にも、取り付け板のクランプ仕様は様々あります。
取付板 がボルト固定の場合
ボルト固定の場合、ネジ穴のクリアランスや、工具での締め付けを考慮して干渉などが無いよう設計を行うこと。
ネジ穴のクリアランスは、M10以下はボルト径より+1mm、それ以上では+2mmで設計しておく事。
ボルト固定、位置決め、自動クランプなど、客先独自の仕様もあるので注意が必要です。
いずれの仕様も正しく設計されていないと、成形機に取り付けができなくなります。
成形機のシリンダーノズルの仕様を確認する事
成形機のノズルは、射出成形プロセスにおいてプラスチック材料を金型内に射出するための部品です。ノズルは成形機のスクリュー(シリンダ)から溶融したプラスチックを受け取り、金型のスプールブッシュに接続され射出される役割を果たします。
- 成形機のノズルの突き出し量よりも短い寸法でスプールの設置を行う。
- 成形機のノズルの先端SRよりも大きいSR設定のスプールの設計を行う。
- 成形機のノズルの穴径よりも大きい1次スプール径の設計を行う。
成形機の仕様に合わせた設計になっていないと、成形中に樹脂が漏れたり正しい圧力が掛からなくなる。
ロケートリングは成形機の仕様に合っている事
ロケートリングは、射出成形金型において金型の位置を正確に制御するための重要な部品です。これは金型と成形機を正確に位置合わせし、固定するために使用されます。ロケートリングは一般的に円形の環状部品であり、金型の開閉動作や成形プロセス中に部品の位置がずれるのを防ぎます。
ロケートリングは、客先の仕様に合わせた径や突き出し量になっている事。
また、成形機にスムーズに取り付けを行うために必ずマイナス公差とする事。
プラス公差になっていたり、打痕などがある場合は成形機に取り付けられないことがあるので注意が必要です。