今回は、冷却回路に関連した設計要件を紹介していきたいと思います。
ここも、客先によって様々な仕様がありますが、まずは一般的な仕様をご紹介していこうと思います。
冷却回路はΦ8mmを基準とし、モールドベースはΦ10を基準とする事
冷却回路は射出成形金型において、成形品の冷却や金型の温度管理に関わる重要な要素です。具体例として、冷却回路は金型内に配管を配置し、冷却水や油を循環させます。これにより、成形品の品質や成形サイクル時間を改善し、生産性を向上させます。冷却回路の適切な設計と配置は、均一な冷却効果を実現し、成形品の品質に大きく影響します。
製品のレイアウトを検討する際は、まず冷却回路や押し出しピンのスペースも同時に考慮する必要がある。また、Φ10mmやΦ8mmでも設置が困難な場合は、Φ6mmでも問題ないが流量が大幅に低下するので多用は禁物です。
冷却回路が適切に設置されていないと、成形サイクルが伸びたり、金型温度が安定しないなど、成形品の品質低下に繋がります。
操作側の冷却回路は偶数になっている事
操作側からの温調機接続を避ける設計とする事。一般的に、どの成形工場も温調器は反操作側に設置していることが多いので、冷却回路の接続は反操作側で行う。よって、操作側は冷却回路を中継するのが基本と考え偶数とする。
また、なるべく天側や地側への回路は避けること。
ランナーストリッパープレートに冷却回路を設置する事
3プレートの場合、基本的にスプールを囲む位置に2本の冷却回路を設置します。
成形のプロセスとして、一番最後に冷却・固化するのがスプールになりますので、冷却回路を設定することで成形サイクルを安定させることができます。
ニップル(継ぎ手)取付部分を埋め込みタイプにしない事
冷却回路のニップル(継ぎ手)は金型の外側に取り付ける仕様とする。理由としては、ニップルと冷却ホースの抜き差しに手間取る事が多いのと、埋め込みにする場合は金型サイズが大きくなるので、ミニマムな設計にしずらい。
上記、ごちゃごちゃと書きましたが、客先の要望や仕様を優先する事。
冷却回路にネジ穴やエジェクターピン等の干渉がない事
冷却回路と締め付け穴が接近している、また上から見て重なるような設計は避けるべきです。最低でも5mmは離したほうが良いと思います。
冷却回路において、他の部品との距離は余裕をもって設計するのがよいでしょう。
キャビ、コアの入子には必ず冷却回路を通す事
冷却回路はなるべく製品の近くを通るように設計する事。
入子の中に冷却回路を設置することが最も効果的ですが、小さな製品の場合は入子内の設置を優先的に考える必要はありません。
冷却回路が適切に設置されていないと、成形サイクルが伸びたり、金型温度が安定しないなど、成形品の品質低下に繋がります。
冷却回路を優先したエジェクターピン配置となっている事
出来るだけ製品近くを平均に冷却する事をエジェクターピンの配置よりも優先し、場合によっては加工工数の多いタンク式も積極的に検討する事。
成形品の冷却に部分的なバラつきがあると、均一な収縮が望めず、成形サイクルの増加や変形の要因に繋がります。
Oリングは規格品を使用し、内圧設計を考慮する事
Oリングは、射出成形金型においてシール効果を持つ重要な部品です。具体例として、Oリングは円環状のゴム製パーツであり、成形プロセス中の冷却水漏れや気泡の侵入を防ぎ、成形品の品質を向上させます。
Oリング溝の設計は基本的に内圧を考慮した設計値にします。また、設計とは関係ありませんが、Oリング保護の為の専用グリスの使用をお勧めします。
間違って外圧の設計値にした場合、水漏れが発生しやすくなります。
Oリングが割りラインに近い、または干渉していない事
入子に中子の割りラインがある場合、Oリング溝との適切な距離の確保が必要になります。
推奨値として5mmの距離は欲しいところ。
接近し過ぎていたり、干渉していたりすると、水漏れの要因に繋がります。
Oリング周辺に締め付けボルトを設置する事
Oリングの近くには、必ず入子の締め付けボルトを設定する事。
入子とモールドベースを適切に位置で締結することで、Oリングからの水漏れの心配はなくなります。
止め栓の距離を考慮した設計にする事
止め栓同士が干渉しないように、十分な距離を保った設計値にする事。
止め栓同士が干渉したまま成形すると、水漏れの要因に繋がります。