射出成形金型設計(その3)

今回は金型の主要部品、モールドベースに関連した設計要件を紹介していきたいと思います。

試作金型や簡易金型では用いられない項目もありますが、精密金型の製作には欠かせない要件になっています。

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サポートピラーの配置には配慮する事

サポートピラーは、射出成形金型において金型の強度を確保するために使用される部品です。これは金型内部の構造物を支えるために配置されます。サポートピラーは一般的に円柱状の形状を持ち、金型の上部と下部のプレートを接続し、射出時の応力を分散させる役割を果たします。

サポートピラーの配置を考える際には、モールドベースに対してではなく、製品に対してバランス良く配置しよう。

金型設計の優先順位がどうしても低くなるサポートピラーですが、設定が困難な場合はモールドベースの鋼材の種類や厚みで強度確保すると良いです。

投影面積の大きい金型でサポートピラーの配置が不十分だと、PLバリの原因になります。

スプールセンターとロケートリングにセンター位置決めがある事

固定プレートと取り付け板の位置決めを設置することで、ロケートリングとスプールのセンター位置が決まります。一般的に用いられる位置決めピン径は6mmから10mmです。

位置決めの設定がない場合、成形機のノズルセンターとの位置ズレが発生する可能性があります。

ロケートリング下のランナーロックピンはスクリュープラグで固定する事

3プレートの設計で良く出くわすロケートリング下のランナーロックピン。

ロケートリングで押さえちゃえと横着しがちですが、しっかりスクリュープラグで締結しましょう。

成形中の樹脂圧は半端ないので、ロケートリングで押さえててもそのうちに緩んで成形不良につながります。

スプールの勾配は2度から3度になっている事

スプールブッシュは、射出成形時にプラスチック材料が金型内部に流れる際、受け口の役割を果たします。

角度が大きいほど離型し易いですが、1次スプールの体積も大きくなり、成形サイクルに悪影響となるので客先との協議が必要です。

勾配が小さいと離型不良が発生する可能性があります。

位置決めブロックの凹凸方向、設置方向を正しく設置する事

位置決めブロックは、射出成形金型において主要部品の正確な位置を固定するための重要な要素です。金型の組み立てや分解時にも位置のずれを防ぎます。成形品の繋ぎ目の段差精度を上げたり、離型時による製品外観のキズ防止にも一役買っている部品です。

また、この部品の配置において、金型設計初心者がよく間違うポイントでもあります。

正しくは、金型中心から放射線状に配置するのが正解です。

間違った方向に設置すると、可動側と固定側の温度差で金型の膨張率に差が出て位置決めブロックにカジリが発生します。

可動側にガイドピンを設置する場合、製品取り出しを考慮する事

トラバスによる自動取り出しの場合は問題ありませんが、手動取り出しの場合は操作側に取出しスペースがあればオペレーター(成形担当者)に喜ばれます。

製品とのスペースがなければ、取り出しが難しくなり成形品の不良率の増加にもつながります。

リターンピン等のバネの逃がしを径で4mm大きくし面取りされている事

リターンスプリングは、射出成形金型においてバックプルやエジェクタ機構などで使用されるスプリングの一種です。具体例として、リターンスプリングはリターンピンに取り付けられ、金型内の成形品を押し出した後、スプリングの力によってピンが元の位置に戻る役割を果たします。

バネ径よりも+4mm大きい逃がしの設計値とすることで、成形時の金型作動中においても確実にクリアランスが確保されます。

また、逃がし入口の面取りも忘れないようにしましょう。

逃がしが小さいと成形時の作動で金型と干渉し、金属粉が発生したり金型の寿命を縮める要因にもなります。

ガイドピン用にエア抜きが考慮されている事

主に2プレート仕様の金型構造において、ガイドピン用のエア抜きは必須の加工です。

エア抜きがないと、成形時にガイドに塗ったオイルが金型内に飛び散って成形品にオイルが付着するなどの悪影響があります。

ノックピン仕様の場合、バール挿入用の隙間を設ける事

モールドベースをノックピンで位置決めしている場合は、バールを挿入する隙間が必要になります。

隙間はどのようなツールを用いるかで決まりますが、概ね2mmから3mm程度あればよいと思います。

隙間を設定していない金型は分解が容易ではなく、無理やりバールを打ち込むと金型が変形することがあります。

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